東日印刷では「愛される会社」を目指し、例年「トーニチサマーフェスティバル」を開催しています。
2018年には会のタイトル変更や舞台デザインの一新などの大きな変化がありました。新設されたデジタル部門「T-NEXT」によるブースもその一つです。
今回はT-NEXTによるブースの一つ、「プログラミング体験コーナー」について取り上げます。
当日に使用した体験教材をダウンロードいただけるほか、2020年のプログラミング教育についてもまとめています。プログラミングを体験させてみたい、プログラミング教育について知りたい、という方におすすめです。
目次
プログラミング教育必修化とは
まずはプログラミング教育についてのトピックを取り上げます。
プログラミング教育がはじまることについて、親としては、「実際にどういった授業が行われるのか?」という部分が、一番気になるところでないでしょうか?調べてみると、教科、単元として「国語」や「算数」と同じように「プログラミング」が新設されるのではないようです。
また、
家庭でPCなどの端末を用意する必要があるのか?
なぜプログラミング教育が行われるのか?
何年生から始まるのか?
など、気になるトピックを「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」や、文部科学省が公開している「小学校プログラミング教育の手引き」などの資料を元にご紹介します。
なぜプログラミングが必修化されるのか
プログラミングはプログラマーが行うものという認識が強いため、なぜ専門職に当たるような教育を小学校から?という疑問が湧いてきます。この理由をまず調べてみました。
以下、「小学校プログラミング教育必修化に向けて」パンフレット(未来の学びコンソーシアム作成)(PDF 789 KB)より引用します。
2020 年度から、すべての小学校においてプログラミング教育が必修化されます。ここで重要なことは、「なぜプログラミン グ教育を必修化したのか」という点です。 我が国の競争力を左右するのは何か。それは「IT 力」です。ヨーロッパでは、「IT 力」が、若者が労働市場に入るために必 要不可欠な要素であると認識されています。現に、90% の職業が、少なくとも基礎的な IT スキルを必要としていると言わ れており、多くの国や地域が学校教育のカリキュラムの一環としてプログラミングを導入しています。 一方で日本では、2020 年までに 37 万人もの IT 人材が不足すると言われています。今後、国際社会において「IT 力」をめ ぐる競争が激化することが予測され、子供の頃から「IT力」を育成して裾野を広げておかなければ勝ち抜くことはできませ ん。そのような思いから、小学校におけるプログラミング教育の必修化は実現されたのです。
日本におけるIT人材の不足は数年前から危惧され続けており、メルカリなど国内大手のIT企業でもIT分野では海外の人材を獲得することが多くなってきています。
また、今後のITの進化によっては、ロボットやシステムなど、多くのものがプログラミングによって動き、それらによって私たちの暮らしが支えられるようなシーンも増えてくるでしょう。
それらを正しく利用することも、またそれらを商品として扱うことも多くなるはずです。そんな時代への準備として、プログラミング教育が実施されると言えるのではないでしょうか?
端末や言語は
実際に行われた授業の紹介を数点確認したところ、基本的には学校所有のタブレットやPCとビジュアルプログラミング言語を利用しての授業となるようですので、端末の種類は各校様々になりそうです。
また、使用するプログラミング言語についても同様で、授業内容によって使用するものを変えているケースがみられました。
ビジュアルプログラミング言語とは
Scratchの画面
ビジュアルプログラミングとは、様々な機能を持ったブロックを組み合わせて行うタイプのプログラミング言語で、マウス操作と数値やテキストを入力することができれば手軽にプログラミングを楽しむことができます。
中でも「Scratch」はもっともシェアの高いビジュアルプログラミング言語で、プログラミング教育の現場において採用されることも多いようです。
授業はいつから?どんな内容?
プログラミング教育の必修化、と聞くと「プログラムを書く授業」を想像しますが、冒頭でも触れたように実際には異なり、様々な教科の中にプログラミングが織り込まれるようです。小学校プログラミング教育に関する概要資料 にはこうあります。
各教科等の特質に応じて、児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動や、プログラミングを体験しながらコンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動を計画的に実施する
試験的に授業を行なっているモデル校では、理科、算数のほか社会や国語、音楽の授業など、幅広い授業が行われており、様々な事例が報告されています。こちらも、参考サイト(小学校を中心としたプログラミング教育ポータル)に多くの事例が掲載されています。是非ご参照ください。
プログラミング教育のゴール
なぜプログラミング教育が必修化されるのかについては前述のとおりですが、実際にどのような教育的ゴールを持っているのでしょうか。「小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)」より抜粋すると、以下の三つとなるようです。
【知識・技能】 (小)身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気付くこと。
【思考力・判断力・表現力等】 発達の段階に即して、「プログラミング的思考」を育成すること。
【学びに向かう力・人間性等】 発達の段階に即して、コンピュータの働きを、よりよい人生や社会づくりに生かそうとする態度を涵養すること。
プログラミング的思考とは
いくつかの項目がある中で、もっともわかりにくいのがこの「プログラミング的思考」ではないかと思います。こちらも資料に答えがありました。
小学校段階におけるプログラミング教育の在り方について(議論の取りまとめ)
自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力
まだまだ抽象的な言葉が多いため、今回ご用意しているテキストに当てはめていきます。ぜひダウンロードしてお楽しみください。
−自分が意図する一連の活動−は、制作したいもの、解決したいこと、と言い換えることができます。今回のテキストにおいては、「近づいてくる障害物をジャンプで避けるゲームを作る」に当たります。
−どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか−こちらは、Scratchに用意されている「繰り返し」や「移動」などの一つ一つのブロックに当てはめることができます。
複数のプログラムによって、一つの作品が作られる。
また、テキスト内でジャンプ機能やハードルの動きをそれぞれ作成していきますが、これらも「記号」といえます。
ゲームをつくり上げるためにジャンプ機能が必要であり、障害物を動かす機能が必要となる。そしてそれぞれの機能をつくり上げるためにも、プログラミングブロックを組み合わせることが必要になります。
プログラムブロックの例
課題を解決するために、必要なものを考え、組み合わせていく、というのがプログラミング的思考と言えそうです。
以上が、プログラミング教育についてのトピックスとなります。
プログラミング体験コーナーへの思い
例年、地域の皆様や関係各社の皆様が多数ご来場される「トーニチサマーフェスティバル」。今年新設されたIT部門である「T-NEXT」にとっては、またとないお披露目の機会でもありました。
そして、ご来場いただく皆様に楽しんでいただけるものを提供しすることを目標に準備されたのが「顔認証グランプリ」と「プログラミング体験コーナー」です。
「顔認証グランプリ」が賞品を用意した大人向けの企画であるのと対照的に、「プログラミング体験コーナー」はお子様とその保護者を想定した企画です。
2020年のプログラミング必修化に向け、体験を通じてプログラミング的思考に触れること、小さなお子様でもお楽しみいただけること、そして何より、プログラミングを楽しんでいただけることを狙いとし、教材を準備しました。
「Scratch体験用ファイル」と「ハードルゲーム制作テキスト」をダウンロードした状態で、「Scratch事前準備用テキスト」の手順に沿ってお楽しみください。