技術 technology

実際と異なる写真の圧縮効果

写”真”とは

一瞬の見たままの光景を記録することが出来る写真は“真”を写すと書きます。
目の前に見える光景を記録し伝えるというのも大事な機能ですが、もうひとつの機能として人間の目では見る事の出来ない光景を写すということもできます。

望遠レンズで遠くのものを大きく拡大した撮影や、逆に広角や魚眼レンズを使った撮影
人間の目では暗闇にしか見えない状況での高感度撮影やライティングを駆使した撮影
高速シャッターや長時間露光等様々な機材や技法があります。

 

密の演出

今回のお話は実際に見た場合と違う印象を受ける写真についてです
新型コロナウイルスによる感染拡大防止の為緊急事態宣言が発出され、外出の自粛が要請されています。
テレビで多くの人で混雑している駅や商店街などの写真が表示され、不要不急の外出はなるべく避けましょうというニュースは見たことがある人も多いと思います。

実はその写真が実際にはさほど混雑していないにもかかわらず、写真の撮り方でそのように見せているという指摘がたびたび出ています。

被写体から離れるほど遠近感が少なくなる(遠くにあるもの同士は近づいて見える)圧縮効果という現象があります。もともと正面から撮った写真の奥行きはわかりにくいものなので、例えば商店街や駅の通路などを遠くから望遠レンズで撮ると奥行き方向に離れているのが分かりにくい写真が撮れます。(望遠レンズでなくてもトリミングしてその部分を拡大することで同じ効果が得られます)

 

スマートフォンでの実験

スマートフォンのカメラでもある程度は圧縮効果を実感できます。

清涼飲料水の缶を並べて離れた位置からスマートフォンで写真を撮ってみます。

ある程度密集して見えるでしょうか?

缶の位置を動かさず真上から撮ると次の写真の様になります。

缶の間隔は缶の高さ程度は離れて配置されています。
人に例えると1~2Mほど離れている状況です。

もともとイベントやコンサート、デモなど賑わいを演出したい場面やイメージ写真などでは使われている手法ですが、その写真を出してこんなに混んでいますと断言してしまうのはグレーゾーンでしょうか。
過去にはヘリが橋に近づきすぎて危険という写真もありました(実際にはかなり離れていました)。

 

 アート写真

写真の圧縮効果やその他実際の見たままとは違う画を撮る技法は、作品作りにも使われていて、幻想的な写真や面白い写真がたくさんあります。
出来ればそういう方面で楽しめると良いなというのが筆者の感想です。

興味のある方は ”アート写真  遠近法”、”月 巨大 写真”などで検索してみると面白いと思います。
最後につたない写真ですが筆者の撮った遠近感を利用した写真も載せておきます。

都内の橋(ゲートブリッジ)と富士山が近く見える写真

月が大きく見える写真

 

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