私たちは日々の暮らし中で、無意識にと「色」と触れ合っています。
色は私たちの暮らしを便利にしたり、より豊かなものにするために影響しています。
今回は色の表示方法のひとつである「マンセル表色系」を紹介します。
マンセル表色系を知ることで、色がどのような関係で成り立っているのかみていきましょう。
マンセル表色系とは
マンセル表色系は色相、明度、彩度の3つの属性の段階で色を表す表色系です。
マンセル表色系の原型は、アメリカの美術教育家で画家でもあったマンセルが色を系統的にまとめるために考案されました。
日本では色彩教育や色彩に関わる学術研究など、さまざまな分野で使われています。
また、国際的に通用する色の表示方法のひとつで、JISの「色の表示方法 – 三属性による表示」は、マンセル表色系に基づいて規格されています。
色相
マンセル表色系で色相はHue(ヒュー)といいます。
色相はRed(赤)、Yellow(黄色)、Green(緑)、 Blue(青)、Purplr(紫)を基本色として、それぞれの頭文字をとってR、Y、G、B、Pとしています。
さらに、この5色の中間色相のRY(赤黄)、YG(黄緑)、BG(青緑)、PB(青紫)、RP(赤紫)を追加した10色で色相を表します。
また、色相の色味を分割して表すこともできます。その場合はアルファベットの前に、0より大きい10以下の数字をつけて5Rのようにします。もっと細かく小数点をつけることもできます。
色相環
色相環は基本色と、それぞれの中間色相を円周上に等間隔に配置したものです。
5の数字がついた色相をその色相の代表色相としています。
色相環では時計回りに色相表示の数字が大きくなっていきます。R(赤)の色相でみたときに数字が小さい場合はRP(赤紫)よりの色になり、数字が大きい場合はYR(赤黄)よりの色になっていきます。
マンセル表色系では0の表示は使わないため、0Rの色相であれば10RPと表示します。
明度
マンセル表色系で明度はValue(バリュー)といいます。
明度の基準は白黒の濃淡を表現した※1無彩色のグレースケールとしています。
明度は理想の黒の明るさを0、理想の白の明るさを10として、その間で明るさが均等に変わっていく段階で設定されています。
理想的な黒と白は現実でつくることができないため、もっとも暗い明度を1、もっとも明るい明度を9.5で表しています。
※2有彩色の明度は無彩色のグレースケールと明るさを比較して判断できます。
※1無彩色とは白、グレイ、黒などの色味のない色をいいます。
※2有彩色とは赤、黄、青のように色味を感じられる色をいいます。
彩度
マンセル表色系で彩度はChroma(クロマ)といいます。
彩度は無彩色からどれだけ離れているかを表しています。彩度が0の場合は無彩色となります。
色相によって彩度の領域が異なっていて、最高彩度で実現できる色に差があります。そのため彩度が同じ場合でも、色の鮮やかさが揃っていないように感じられることがあります。
色の表示法
マンセル表色系での色相、明度、彩度による有彩色の表示は、それぞれの頭文字を組み合わせてHV/C(エイチブイシー)といい、マンセル値、マンセル記号などと呼ばれます。
有彩色の表示
有彩色を表示する場合は、色相、明度、彩度の順に「5Y 8/10」のようにします。
5Yが黄色、8/10が明度が8、彩度が10となっていることをあわらします。少数点を含めた数字で表すことも可能で、その場合は「5Y 6.5/10」のようにします。
無彩色の表示
無彩色は色相がないため、Nの後に明度の数字をつけて「N5」のように表します。
Nとは中性、中立を意味するNeutralの頭文字をとっています。
まとめ
今回はマンセル表色相をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
隣り合っている色や対角にある色を学ぶことで、配色や色の持つ意味をより伝えることができるようになります。
配色についても紹介していますので、興味がある方はご覧いただければと思います。