「企業のSNSアカウントを開設してサイトと連携させたい」
T-NEXTでは、お客さまからそんな相談を受けることがあります。
そもそも、企業にとってSNSとは何のためにあるのでしょうか。また、SNSとサイトの連携により、企業はどのような効果を得ることができるのでしょうか。
今回は、そんな企業におけるSNSとサイトのあるべき関係性について考えてみます。
目次
SNSは開設した。でもどんなことを発信すべきかわからない
今の時代、企業がSNSアカウントを所有することは、決して珍しいことではありません。しかしながら、SNSの役割をしっかりと理解した上で自社のアカウントを運用している企業は一握りのように見えます。
「持っていて当然」「ライバル企業が持っているから」などといった理由でSNSを開設したのはいいが、蓋を開けてみれば内輪な情報発信に終始しているなんて企業も多いはずです。
SNSはコミュニケーションと情報収集の場
下記は、消費者庁による、SNSユーザーを対象とした利用目的に関するアンケートの回答結果です。(複数回答可)
平成28年度 消費者庁「SNSに関するアンケート結果」より
上記のアンケート結果からもわかるように、まず理解しなければならないのは「SNSはコミュニケーションの場である」ということです。
「そんなこと分かっているよ」と言われてしまいそうですが、頭で理解しながら実際にはコミュニケーションができていない、なんてことがよくあります。
例えば、アカウントの企業色が強かったり、オフィシャル過ぎる情報発信がSNSで共感を集めないのは、SNSの世界観にマッチしていないという理由が考えられます。企業色を払拭するために、例えばSNSに自社のキャラクターを登用し呟かせている企業なんかもあります。
SNSではユーザーの喜怒哀楽に訴えるとリアクションを生みやすいと言わています。だからこそ炎上というものもあるわけですね。
つまり、解釈に「余白」を持たせることによりユーザーがリアクションを示しやすくなるということができます。
あのNHKもご覧の通りコミュニケーションを意識した投稿が(NHK公式Twitterより)
さらに、前述のアンケート結果から、情報収集のためにSNSを利用するユーザーが多いことがわかります。
- ・趣味等に関する情報の収集
- ・ニュース等に関する情報の収集
- ・商品・サービス等に関する情報の収集
など、コミュニケーションについで多いのはいずれも情報収集です。つまり、SNSの普及は情報収集(情報検索)のあり方を変化させていることがわかります。
WebサイトとSNSの連携=Webサイトを受け皿とした集客の仕組みづくり
ユーザーがなぜSNSを利用するのかを理解することで、SNSとサイトの連携とは何のためにあるのかを理解することができます。
企業のSNSアカウントとは、SNSユーザーとのコミュニケーション、すなわち「接点づくりと関係構築」のためにあるとT-NEXTは考えています。
すなわち、サイトとSNSを連携させるということは、SNSを入り口としてサイトの集客を高める(認知度向上、見込み客の増加)ための仕組みづくりであると定義することができます。
前述の通り、SNSユーザーの多くがコミュニケーションと情報収集のためにSNSを利用しています。
つまり、サイトとSNSの連携を効果的なものにするためには、良質な情報(コンテンツ)をSNSを媒体し発信しすることにより、ユーザーと接点を持ち、より良い関係を構築することが重要であり、それこそが理想的なコミュニケーションのイメージといえます。
届けるべき情報はどのようなものであるべきか
様々なことに興味を持った人が集まり、それぞれに違うことで盛り上がり、それぞれが楽しんでいる。気分をリフレッシュするための共有スペースであることから、SNSはよく公園に例えられることがあります。また、その利用シーンは、通勤(通学)途中、昼休み、帰宅後のリラックスタイムなど、ビジネスからは遠いところにあります。
そんなSNSに発信すべき情報は、果たして企業のプレスリリースでしょうか。新製品の案内でしょうか。
一般的に、WebサイトとSNSを連携させた情報発信には「誰かのためになる情報」が有効であると言われています。これは、SNSユーザーがためになるもの=良質な情報に対して「いいね」や「シェア」といったアクションを起こすためです。
例えば、グローバル企業であるIBMは電話会議のノウハウを、自社のサイト上で公開し大きな反響を呼んだことがあるそうです。グローバル企業が何年間も培ってきたノウハウだったからこそ、その情報をSNSユーザーは「価値がある」と評価したといえます。
企業であれば、ターゲットとなるユーザーの関心事項、知って得するような情報、例えば、業界の動向やトレンドなどのニュースを発信するのも効果的です。ユーザーにとって価値のある情報を企業ブログなどで発信し続けることにより、企業へのエンゲージメントを高め、ファンとして定着させることにより、新たな見込み客を増やすことができます。
このようにWebコンテンツをベースとした一連の「売れるための仕組みづくり」をコンテンツマーケティングと呼びます。
実は、SNSとサイトの連携とはコンテンツマーケティングの仕組みづくりの一つだったというわけです。
誰かの「知りたい」を叶えることでエンゲージメントは高まる
で、実際のところやった方がいいの?
ここまで書くと「なんだか想像していたよりもずっと面倒臭そうだ」と思われるかもしれません。
企業の広報やWeb担当者にとってトピックス更新などの日常業務に加え、企業ブログなどでユーザーのためになる情報発信を行うというのは容易ではありません。
しかし、やるべきか否かと聞かれれば、もちろんやった方がいいといえます。
その理由の一つとして購買行動モデルの変化が挙げられます。
購買行動モデルとは、消費者が情報探索により商品やサービスを知り、比較検討し、購買(利用)するまでの行動プロセスをモデル化したものです。以下は、例として化粧品を購入するまでのプロセスを表したこれまでの代表的な購買行動モデルです。
テレビや新聞などマスメディアが情報を支配していた時代にはじまり、その後のインターネットの普及、スマートフォンの普及、SNSの普及などにより、人と情報を取り巻く環境は大きく変化しています。
マスメディアが情報収集の主流であった時代は、情報提供者がユーザーに対し関心を惹くためのコンテンツを用意すれば、ユーザーが自然とその情報を認知し、購買行動プロセスが開始していました。
しかし、インターネットの出現により、そこに「検索」「比較」「検討」といった新たなプロセスが生まれます。そして、それまで情報に対して受け身であったユーザーがより能動的に情報を得る時代へとシフトしていきます。
さらに、これがSNSの普及により下記のように変化します。
前述の通り、SNSの台頭は情報検索の概念すら変えつつあります。
上記の例に限らず、SNSではニュースをはじめとする様々なWebコンテンツや広告がタイムライン上に表示され、アルゴリズムにより、よりパーソナライズされたものとしてユーザーに提供されます。
ユーザーは検索をしなくてもSNSを開けば、個人が興味、関心を示す情報を得ることができます。こうした時代の流れによる消費者の購買行動の変化に対応するためにも、サイトとSNSを連携し「良質な情報」を届け続けることは非常に重要であることがわかります。
まとめ
いかがでしたか?
企業サイトのトップページに、自社のSNSアカウントのタイムラインを表示したり、各ページに「いいね」や「シェア」ボタンを設置したり、Webコンテンツの更新に合わせて自社のSNSアカウントのタイムラインに更新情報を流すなど、SNSとサイトを表面的に連携させることは簡単ですが、それぞれが効果を生む連携にするためには「良質なコンテンツ」が必要であるということが分かったかと思います。そして、時代の流れにより、ユーザーの情報検索のあり方が変化し、購買行動も変化しています。
ユーザーにとって効果的な情報発信は、時代のニーズに合った企業とユーザーのコミュニケーションの一つであり、将来的な見込み客に対するアプローチに繋がります。
サイトとSNSの連携することはそのための第一歩ということができます。