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企業におけるPRとは?事例を含めてご紹介!

今日はPRの意味や概念ついてみなさんにシェアしようかと思います。実は最近、業務の中でPRというものに向き合う機会を得たのですが、このPRという言葉の概念、なかなか深いものがあります。今日はそんなPRをわかりやすく解説。さらに、近年の企業PR事例を紹介し、PRというものに対する理解を一緒に深めたいと思います。

さて、みなさんはPRと聞くとどんなイメージを持ちますか?
多くの方は就職活動での自己PRを連想するかもしれません。または、地域PRなどという言葉もよく使われます。
つまり、「自分(や地域の)の良いところを(誰かに)伝える」といった意味合いで使用されます。

そのため、PRをプロモーションという言葉の略だと捉えている人も少なくありません。自己のプロモーション、地域のプロモーションといった具合です。
事実、PRという言葉を調べると、宣伝、広告という意味もあるため(デジタル大辞泉、PRの解説より)、あながち間違った使い方ではなさそうです。

企業活動におけるPRとは?

ここからが本題です。就職活動を終え、社会人になり企業で働くようになると、人によっては、PRという言葉に出会います。このPR、日本語では広報と呼ばれています。なるほど、広報のことね。と理解された方も多いかもしれませんが、じゃあ広報って何?と聞かれると返答に困ってしまうかもしれません。

戻ります。PRとは実は略語です。何の略かというとPublic Relationsの略です。お、何だかイメージしやすい言葉になってきました。

Public=公の、Relations=関係。公との関係(構築)?そんなニュアンスがイメージできますね。ちょっと調べてみましょう。

官庁・団体・企業などが、みずからの望ましいイメージおよびその施策や事業内容・主義主張などについて多くの人々に知らせて理解や協力を求める組織的活動。(デジタル大辞泉、PRの解説より)

とありました。少しわかりづらいですね。もう少し調べてみましょう。日本で唯一、企業・団体の広報担当者とPR会社(企業PRをサポートする会社)の会員で構成されている公益社団法人日本パブリックリレーションズ協会によれば、

パブリックリレーションズについて、アメリカで教科書として定評がある『体系パブリック・リレーションズ』では、次のように定義されている。
「パブリックリレーションズとは、組織体とその存続を左右するパブリックとの間に、相互に利益をもたらす関係性を構築し、維持するマネジメント機能である。
日本では、1969年に加固三郎が次のように定義している。
PRとは、公衆の理解と支持を得るために、企業または組織体が、自己の目指す方向と誠意を、あらゆる表現手段を通じて伝え、説得し、また、同時に自己修正をはかる、継続的な対話関係である。自己の目指す方向は、公衆の利益に奉仕する精神の上に立っていなければならず、また、現実にそれを実行する活動を伴わなければならない。
つまり広報・パブリックリレーションズは、“関係性の構築・維持のマネジメント”である。企業・行政機関など、さまざまな社会的組織がステークホルダー(利害関係者)と双方向のコミュニケーションを行い、組織内に情報をフィードバックして自己修正を図りつつ、良い関係を構築し、継続していくマネジメントだといえる。(日本パブリックリレーションズ協会公式サイト、パブリックリレーションズとは?より引用)

と定義しています。

整理してみましょう。
本来、企業というのは、Public=消費者、株主・投資家、従業員、行政機関、金融機関、地域住民、取引先などさまざまなステークホルダー(利害関係者)を抱えています。そして、そのステークホルダーに対して、それぞれ責任を果たすことにより企業活動が成り立っています。

上記の内容からPRとは、そういったステークホルダー(企業にとってのPublic)に対する、関係性の構築、維持のマネイジメント活動であるということがわかります。

さらに、PRにおけるポイントとは

  1. (Publicの利益に奉仕する精神をベースとした)企業や組織の目指す方向と誠意を伝え、(Publicの)共感を促す
  2. 取るべきコミュニケーションは一方通行ではなく双方向(対話)型である
  3. コミュニケーションで得た情報はフィードバックされ自己修正を図る

であり、1から3を絶え間なく繰り返すことにより、(Publicとの)良い関係を構築し、それを維持していく活動と言えそうです。

なるほど、例えば企業におけるSNSや企業ブログなどのオウンドメディア運営やCM、広告など企業を取り巻く全ての情報発信などマーケティング活動もPRの一環と捉えることができます。

つまり、マーケティングの上位レイヤーがPRと言えます。ただし、大切なのは、企業や組織の目指す方向と誠意を示している点(これは企業理念、ミッションなどと言い換えることができると思います)、そして双方向型コミュニケーションであるという点です。

企業のオウンドメディア運営もPRの一環

以前、T-NEXTがグループウェア国内大手のサイボウズ株式会社とオウンドメディアに関するコラボセミナーを行なった際に、登壇した大槻幸夫さんが、「(サイボウズが行なっているのは)Content marketingではなくContext marketingだ」とおっしゃっていましたが、これはPRの観点を知れば理解することができます。

Content marketing(コンテンツ・マーケティング)とはユーザーにとって価値のある有益なコンテンツをWebサイトで発信し、ユーザーを呼び込みファン化し、問い合わせや商品購入などの行動へとつなげるマーケティング施策のことです。少しでも人の目に触れるために、高い更新頻度が求められます。

これに対し、Context marketing(コンテクスト・マーケティング)とは消費者の背景や心情を理解し、それにふさわしい情報、サービス、商品を提供するというマーケディング施策です。消費者の文脈を理解し情報を提供するというサイボウズ社のマーケティング施策はまさに、双方向型コミュニケーションの代表例と言えそうです。

思わず頷いてしまうkintoneの広告(kintone hive onlineより引用)

もともと、サイボウズ社では2015年にワーキングマザーを題材としたワークスタイルムービー「大丈夫」を制作、ローンチ。YouTubeの広告なし動画としては異例の162万回再生を記録しています。

国内外に大きな反響と共感を与えたワークスタイルムービーは、現在の「働き方改革と言えばサイボウズ」というイメージの礎となっているだけでなく、多様な働き方に対して一石を投じています。
グループウェアを扱う企業だからこそ、働き方改革という社会課題に取り組む企業であるというストーリーが必要だったと前述の大槻さんはセミナーの中でも語っていました。

ところで広報・PRの仕事って?

広報というとプレスリリースやIRというイメージが強いかもしれませんが、前述の日本パブリックリレーションズ協会によれば、広報の活動内容には以下の5つの機能があるとされています。

  1. 外部情報の受信(広聴機能)
  2. 外部情報の経営者・従業員への発信(情報参謀)
  3. 社内情報の受信(社内広聴)
  4. 内部情報の従業への発信(社内広報)
  5. 社内情報の対外的な公式発表(社外広報)

つまり、広報・PRとは企業とステークホルダーの間に位置する、情報の出入口と定義することができます。もちろん、広報という専門部署がない場合、それらの機能は外部に委託したり、総務などの部門が兼ねている企業も多いのが実情ですが、単に公式情報の発信をするだけでなく、外部や内部の情報を集め、経営陣や従業員に流すという情報参謀的な役割を持つのが大きな特徴といえます。

広報・PRパーソンを「会社の真ん中に立つ人」と表現される所以はこの辺にありそうですね。企業の内外に出入りする情報には必ず広報・PRパーソンが関わっています。メディア向けのプレスリリースや株主向けのIRというのはそんな広報・PR機能の一部であることがわかります。

また上記に加え、近年では企業の危機管理に対しても広報・PRが果たす役割が大きなっています。例えば、大規模な災害が発生した際に、BCP(事業継続計画)を策定し、ステークホルダーに向けそれを発信するのも広報・PRの役目とされています。つまり企業における広報・PRとは経営と一体化した活動が求められます。

クライシスマネージメントも広報の重要な役割だ

※BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。

これで完璧に理解!PR事例を見てみよう

2018年PRアワードグランプリ、グランプリ受賞

「名もなき家事」撲滅に向けた挑戦〜大和ハウス「家事シェアハウス」PR活動〜

 

 

総務省の調査によれば、現在1188万世帯超が共働き世帯といわれていますが、そんな中夫婦の家事分担は深刻な社会問題。どんな家庭でも必ず起こるのが「家事を手伝っているのに妻に叱られる」といった夫婦の構図。

NPO法人tadaimaは妻と夫の間に存在する、家事の総量に対する意識のギャップを指摘。

「裏返しに脱いだ衣類やくつ下をひっくり返す」
「脱ぎっぱなしの靴を揃える、下駄箱にしまう」
「トイレットペーパーを換える、(芯を)捨てる」

など夫が気づかず、妻が1人でこなしている家事を「名もなき家事」と呼びました。そんな名もなき家事を軽減するために、ハウスメーカーとして何かできないかと考えた大和ハウスは、生活動線を工夫することで自然と家族全員が家事に参加できる「家事シェアハウス」を開発。そのPR活動が見事グランプリに輝きました。

カンヌライオンズブロンズ受賞 株式会社ポーラ 「Call Her Name」

 

ポーラ化粧品のPRムービー。なんとカンヌでブロンズ受賞したという国際的にも高い評価を得た作品。制作を手がけた博報堂ケトルの代表を務める嶋浩一郎さんは、広報会議2015年9月号のインタビューの中で次のように述べています。
子どもができてからもファーストネームで呼ばれる母親は、ある体内ホルモンが多くなり、体の中から美しくなるという科学的事実にたどり着いたポーラ化粧品はそれをPRに昇華させました。これは企業の重要なターゲットである女性が社会の中でどうあるべきかという大きな問題に取り組んだ事例で、キャンペーンを手掛けるブランドの「正当性」や「信頼性」が評価された。(カンヌの)PRカテゴリーの作品は広告的なものから、より本質的なパブリックリレーションズを実現する作品に回帰してきたともいえる。
長らく、広報・PRとは企業におけるパブリシティを行う部門というイメージを持たれていましたが、現在では社会問題や課題に企業のビジョン、ミッションをの視点から向き合い、社会に対して合意形成を促し、新たなムーブメントを起こす、そんなイメージに変化してきているようです。

まとめ

いかがでしたか?
高度経済成長期を経て、国は豊かになり、市場は飽和し、インターネットが隆盛し、モノも情報も溢れる時代となりました。
そんな中、持続可能な企業活動を行なっていくためにはどうすればいいのか、みなさん頭を悩ませることだと思います。
そんな時はPRというものに向き合ってみるいいかもしれません。
企業は何のために存在するのか、どんなミッションを持っているのか、どんな価値を提供すべきか。
そして、社会をどう変えていけるのか。
PRに向き合うことで、本来忘れていた、企業の本質的な部分が見えてくるように思います。
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