挑戦している人や企業にフォーカスし、様々なことについて話を聞くインタビュー記事。今回は群馬県高崎市に本社を構える化学薬品の専門商社、和光化学株式会社です。
日本で最も歴史のある卸売団地、高崎市問屋町。
現在、高崎市の中で副都心的な位置付けを持つこの地区は、かつて、北関東の一大流通拠点として栄えていました。
バブル崩壊や時代の流れによる流通機能の変化により、一時、200社あった企業拠点は、その後130社程度まで減少。
厳しい経営を強いられる中、それでも多くの中小卸売業社が、その業種業態を変化させながらこの地域の発展に貢献してきました。
一方近年では、区画整理や2004年に設置された高崎問屋町駅の影響もあり、分譲マンションの建設や近隣のニュータウン造成が活発化。2010年には、高崎問屋町駅から西に約800mの敷地に、群馬パース大学の「高崎新キャンパス」も開校し、その街並みも大きくリニューアルされました。
群馬パース大学の高崎新キャンパス
そんな伝統と未来が交差するこの町に、化学薬品の専門商社として60年以上の歴史を持つ和光化学株式会社があります。
お客さまのニーズに寄り添い、単なる商社の枠を越えたいくつもの事業に挑戦する和光化学。
そんな同社の代表取締役社長を務める中條正さんに、時代を越えて愛される企業風土やその戦略について伺いました。
フィロソフィのある会社
和光化学には「和光化学フィロソフィ(企業としての哲学)」がありますが、これはどのようなものでしょうか?また、なぜそのようなものが必要とされたのでしょうか?
現在、会長を勤めている吉濱達三が、京セラやKDDIの創業者である稲盛和夫さんが主催する盛和塾に入塾したのがきっかけです。
稲盛さんといえば京セラを世界的な企業にされただけでなく、auや日本航空などの経営にも携わられた日本を代表する経営者。赴いた企業ではいずれも短期間で大きな成果を上げられています。
そんな稲盛さんに経営を学ぼうと入塾したわけです。
そうした中、2000年にITバブルが弾け、お客さまの工場稼働は激減。
当社は大幅なコストダウン要請を受けることになりました。
また、当時は商社を抜いた直取引、いわゆる中抜きも盛んになり、お客さまの90%が製造業という当社は大打撃を受け、売上は大幅に減少。
もちろん、新商品販売や新規顧客の開拓にも励みましたが減少は止められず、2004年の決算では最盛期の6割程度までに落ち込みました。
この時、吉濱がかねてから学んでいた稲盛氏の考え方を全社員で共有する事を目的に、京セラのフィロソフィをベースとして「和光化学フィロソフィ」をつくることになりました。
フィロソフィは手帳サイズで全社員に配布
和光化学フィロソフィーに対する社員の方々の反応はどのようなものでしたか?
つくりはしましたが、それがすぐに社員に浸透したかというと、もちろんそんなことはありません。
和光化学フィロソフィは、「こういうものを目指していこう」と吉濱がつくったものですから、当然、中に書かれているようなことはすぐに実践できるものばかりではありません。
また、稲盛さん自身が仏教に敬畏していたことから、(フィロソフィには)そうした部分も色濃く反映されていますし、何よりも京セラは製造業ですがわれわれは商社。
当然のことながらフィロソフィも製造業の立場にたったものが多く、最初は違和感を感じたりもしました。
それでも、始めて15年以上が経過した今となって考えてみると、フィロソフィに書かれていることは、業種などを越え実に普遍的なことばかりです。
和光化学という組織から離れ、他の集団で何かものを考え話すような時に、フィロソフィは我々にとって間違いなく一つの指針になっています。
稀代の経営者として知られる稲盛氏(BLOOMBERG NEWSより)
例えば、私はプライベートにおいて、過去に学校のPTA会長をやらせていただいたことがありますが、先生方や保護者の方々とお話をするような時も、自然とフィロソフィをベースとしてお話することが多かったですね。
フィロソフィの中に、人生の結果=考え方×熱意×能力というものがあり、それを学校行事でお話ししたところ、先生方が随分感心されて、「それ是非使わせてください」などと言われたこともありました。
先生方には、その話が稲盛和夫さんの考えをベースとしたものであることをお伝えましたが、ずいぶんと話題になり他の学校でもその話が使われたそうです。
学校教育のような場でも、フィロソフィの概念は有効と判断されたわけですから、フィロソフィがいかに普遍的であるかがわかります。
商社業界も企業は数多くあるでしょうし、その中で差別化を図るというのはなかなか難しい時代かと思います。さきほど、人生の結果=考え方×熱意×能力という話がありましたが、熱意、能力というのは属人的であるため、まずは考え方の部分をしっかりと定義しようと考え、和光化学のフィロソフィーをつくったということでしょうか?
そういうことです。
そして、ポイントはそれらが掛け算であるという点です。
ですから、ポテンシャルの高い人間ほどマイナスの思考を持つと、会社に与えるダメージが必然的に大きくなります。
私も40年この会社にいますが、和光化学を離れていった優秀な人材を何人か目にしています。
特に優秀な営業などは、お客さまからも可愛がっていただいていますから「あなたから買いたい」などと言われるようになります。
つまり、メーカーから商品を取り寄せさえすれば、和光化学にいなくても商売は成立します。
そんな時、例えば組織の求心力が低下していたり、社として目指す方向性を共有できていなかったりすると、社員は当然独立を視野に入れます。
なぜなら、お客さまとの関係性も良好ですから、独立ともなると、お客さまも応援してくれるわけです。
しかし、それは私たちとしては避けたいところです。
また、先ほども申し上げた通り、2000年のITバブル崩壊後、業績は大きく落ち込みました。企業は、業績が良い状況では、給料もボーナスも増えますから放っておいても組織の求心力は高まります。しかし、業績が落ち込んだ時はそうはいきません。
景気の悪い中、社員の結束力をどう高め、新たなスタートを切ることができるか、そこにこそ企業の真価が問われると考えています。
ですから、フィロソフィをつくり、考え方を共有し、求心力を高める必要があったというわけです。
フィロソフィを浸透させるために、具体的にどのようなことをされていますか?
毎朝の朝礼で読み上げたり、月に1回コンパという全社員参加型の飲み会を行なったりしていますが、その席で、フィロソフィの項目に対して話をしたり発表したりしています。
やはり冊子を渡すだけではなかなか浸透しませんから、毎朝の朝礼のように繰り返すことにより、刷り込まれていく部分があると思います。
朝礼では、人によって、いつも同じ項目にあたり、その項目に書かれていることが(自分に)足りていないのではないかなどど勘ぐる社員もいます 笑。
そんな時、フィロソフィが社員一人ひとりの物差しとなっていることに気づきます。
また、最近では、社員が陰でしている「ちょっといいこと」を(フィロソフィの観点から)取り上げ、社長賞として表彰しています。
これは自薦他薦問わず行なっていますが、中には「今こういう仕事に取り組んでいるので、成功したら私にファインプレー賞をください」なんて言ってくる者もいます 笑。
そういう、社員の「実はこんないいことをしている」ということを、発掘し先ほどのコンパのような席で全社員に紹介するようにしています。
毎朝の朝礼ではフィロソフィーを読み上げる
コンパについて、詳しくお聞かせください。
毎月末の金曜日に、全社員を対象とした飲み会を開催しており、われわれはそれをコンパと呼んでいます。もちろん、強制ではありませんし、個人の都合により参加できないというケースもあります。それでも、ほとんどの社員が毎月参加してくれています。
会場にはホテルを使用していますが、ゆっくり時間を過ごしたいと、そのままホテルに宿泊する社員もいます。コンパに掛かる飲食代や宿泊費は全て会社負担ですから、参加者は気兼ねなく楽しむことができる。社員からは好評を得ています。
すごいことをやっていますね。結束力も高まりそうです。フィロソフィも浸透したんじゃないでしょうか?
一人ひとりにフィロソフィのことを質問したら、きっと頭では理解していない部分もあると思います。
しかしながら、10年以上、毎日のように取り上げ話をしていますから、自然と刷り込まれているのではないかと思います。
お客さまの前でも、同僚の前でも、また企業を離れた日常生活の中でも、社員一人ひとりが何かを考え、行動する際に、フィロソフィが物差しとして影響を与えているように思います。
毎月行われるコンパ。結束力の強さが伺える
人を動かすために必要なもの、それは心理的安全性
コンパなどの効果かと思いますが、さきほどのファインプレー賞のエピソードからも、社員一人ひとりが非常に明るく前向きな印象を受けます。やはりこれは和光化学の社風と考えていいのでしょうか?
企業の風土は人を動かす上で非常に重要です。ですから、風土づくりには力を入れています。私は、3K職場、そして心理的安全性の高い職場を目指そうといつも言っています。
3K職場?まさか、きつい、汚い、危険ではないですよね??
われわれの言う3Kとは、やる気、根気、前向きのことを指し、それぞれの言葉の末尾のKを取り3Kと名付けています。これを全社員で徹底してやっていこうと呼びかけています。
そして、心理的安全性の高い職場とは、かつてGoogleが行なったプロジェクト・アリストテレスの分析結果にヒントを得ています。
プロジェクト・アリストテレスによれば、居心地のいい組織、ミスをしても叱られないような心理的安全性の高い組織が最高のパフォーマンスを発揮するという結果が出ています。
人を動かす上ではミスを承認するということは大切です。
また、仮に失敗して、それを隠すようなことがあると、会社としてもっと大きな損失に繋がるケースがあります。ですから当社は、何があっても部下は上司に報告することを徹底しています。
部下が報告することにより、その件に関する責任を上司に負ってもらう。それでいいと思うんです。
グーグルのチームワーク術は書籍にもなっている(Amazonより引用)
心理的安全性が高いからこそ、社員も発言しやすくなる。そして、ミスに対して寛容であるからこそ、積極的に行動を起こすことができるのですね。他にも、仕事に裁量権を持たせると良いなどと言われますがその点はいかがですか?
それはあると思いますね。
ベテランになればなるほど、そうした傾向は強くなるかもしれません。
ただ単に、こうして欲しい、ああして欲しいと一方的に押し付けたところで、なかなか人は動きませんから。
大切なのは、自らが決断し、自らやろうと思ってもらうことです。企業は社員に対して、そのための動機付けをしなくてはいけない。つまり、承認、賞賛される心理的安全性の高い風土というのが重要ではないかと考えています。
和光化学では、職制を越え誰もがプロジェクトのリーダーになることができます。もちろん、提案は自由ですが、プロジェクトを立ち上げるか否かは会議での採択が必要になります。
しかし、採択されれば新入社員でもリーダーになることができます。
周囲から認められるということは大きなモチベーションになります。
プロジェクトのリーダーになって、そのやりがいの中に自分の存在意義を感じてもらおうと思っています。
人を動かす上で、その他に大切なことはどんなことがありますか?
社員に対して、少しでも明確な未来、目標を設定するということでしょうか。
例えば、「100億円の売り上げ目標を実現すればみなさんの収入はこれくらいになる」と、実際の金額を含め社員には示すようにしています。
社員には、そのために自分たちにできることは何かを常に問い続け、目標に向かい少しずつみんなで努力をしてもらいたいと思っています。
家族が大切、そして自分も大切、だからこそ、企業は社員とその家族の将来に対して、安心できる未来と展望を描き、働く者の不安を少しでも取り除いてあげることが必要です。
先ほどの心理的安全性と通ずることかもしれませんが、将来は明るいという見通しを一人ひとりが持ち、それを達成するためには、「まずこれをやらなければいけない」と自ら思って行動してもらう、そのための土壌をつくることは、企業の役目であると考えています。
和光化学の考えるリーダーとは
リーダーに求めるもの、人をマネジメントする上で大切なこととはなんでしょうか
泊まり込みで行うような管理者研修などは、それこそ私の時代からありますが、そういう机上で得た(管理者としての)知識やノウハウというのは実際には役立たないことが多いのではないかと感じています。
特にわれわれの仕事は、お客さんに揉まれて初めて色々な部分が育ってきますから、事上磨錬※ではありませんが、実際に仕事の中で培ったものをベースとした生のアドバイスでなければ、部下もなかなか納得しないし、ついてこないと思います。※実際に行動や実践を通して、知識や精神を磨くこと。
さらに、今の若い人たちは、例えば「これやって」と頼めば、頼んだことはやってくれますが、それ以上のことってなかなかやってくれない。
ですから、その上に立つ人間が何をすべきかと言われれば、きっとそれは、上から「これをやれ、あれをやれ」と一方的に命令するよりも、もっと丁寧に、例えば部下にとってパートナーのような存在であるべきだと考えています。
営業であれば、同行して自分の立ち振る舞いをまず見せるということも必要ですね。
しっかりとしたコミュニケーションをベースとした指導と言えそうです。人材育成に時間がかかりそうですが。
和光化学は人が育つのに時間がかかる会社かもしれませんね。しかし、最終的にそれはお客さまのためであると考えています。
取引のある大手企業の資材マンなどに聞くと、4月入社からわずか半年ぐらいで資材担当として値段を決めているなんてことがあります。
和光化学ではあり得ないことです。もちろん、人材育成に時間をかけすぎているという見方もあるかもしれませんが、職種によっては様々なことを学ぶ必要があります。ですから、お客さまの信頼を得るレベルにいたるのにはどうしてもある程度の時間を費やすことは必要だと考えています。
チームワークの向上と働きやすい環境をめざし
上司部下の関係をはじめ、和光化学はとてもコミュニケーションの盛んな会社である印象を受けます。組織の大小に関わらず、まとまりのあるチームをつくり、チームワークを最大限高めることは、企業における共通の課題であると思いますが、和光化学においてチームワークを高めるために意識していることというのはあるのでしょうか?
あえて異なる専門性を持つ人材でチームを形成するよう心がけています。
これまで、当社の営業は業種により4つのグループに分け、その分野に特化した営業マンでチームを構成していました。
これは、当社の営業が、その業種に応じて高い専門性と知識を必要とするためです。
例えば、苛性ソーダのように汎用品を仕入れそのまま販売することもありますが、そういったケースはむしろまれで、ほとんどの場合が、スペシャリティケミカルと呼ばれる加工度の高い製品をお客さまに応じて独自に製造、販売しています。このため、それぞれのチームはその分野に特化した営業マンで構成されていました。
しかし、高い専門性を持つ人間が分野の壁を越えて情報交換をすることは、和光化学の総合力を上げる上で有効と判断し、本年度より、あえて、専門性の異なる営業マンを集めチームを構成するようにしました。
それぞれの得意分野や専門分野活かし、メンバー同士がお互いに補うかたちでコミュニケーションを図りますから、今まで以上にチーム内の会話が増えたように感じています。
みんな和気藹々とやってくれていますよ。
チームワークとは多様な強みを持つメンバーが集まり、相互依存するかたちで成り立つと言われていますが、まさに、チームワークの原点に立ち返った組織改革とも言えそうです。当然のことながら、相互依存により成り立つチームワークには、メンバー同士の信頼関係が求められると思います。仮に、激しい議論をしたとしてもお互いが離れていかないような関係を構築するのは非常に難しいことだと感じます。その点に関してはどのようにお考えでしょうか?
そのために、フィロソフィやコンパが有効なのだと思います。
何か特別なことをやっている訳ではなく、働き方のベースとなる「考え方」を共有し、常日頃から「会話」を多く持つよう心がけています。
その甲斐もあり、当社は離職率も非常に低いですね。
御社は、群馬いきいきGカンパニー認証を受けておられますよね。育休などの取得など、女性も含め働きやすい環境というのを意識されている企業だという印象を受けますが。
過去に、管理部門の女性社員が立て続けに退社したことがありまして、その時、管理部門がひどく混乱しました。やはり、女性社員が安心して働ける環境づくりは企業にとっても非常に重要なことですから、そういった取り組みにも力を入れています。
現在は中核となる女性社員がいますが、彼女たちが若い世代の女性社員をしっかりまとめてくれています。「産休を取ります」「育休を取ります」と言ってもそれがうまく回るのですからこれは感謝ですね。
おかげさまで、今では女性社員もほとんど辞めることはなくなりました。
お客さまから選ばれる会社として必要なこと
和光化学は化学薬品の専門商社ですが、現在は新規事業にも積極的に取り組んでおられます。お客さまや社員の反応はいかがでしょうか?
社員に対しては、「チャレンジ」という言葉をずっと言い続けています。
そのためか、決まったことをする、いわゆるルーティン営業ではなく、新しいものに対してどう取り組んでいくかということを各自が認識し、自然と(新しいものに対して)挑戦する風土ができています。
お客さまも、以前であれば、和光化学といえば化学薬品しか扱っていないという印象を持っていたかと思いますが、今ではそんなことはありません。
例えば、お客さまが将来的に生産設備の大規模な改修を考えていて、その際、国の補助金の利用を検討されているとします。補助金は、その申請自体も非常に手間のかかる作業にもかかわらず、必ずしも採用されるとは限りません。ですから、お客さまも頼れるスペシャリストを求めています。
そんなお客さまのニーズに寄り添い、数年前から補助金申請の代行ビジネスを手がけています。
また、企業の土壌汚染対策の一環として土壌改質などのお手伝いなどをさせていただくこともあります。われわれはもともと、特定建設業の許可も取っていますし、排水処理などで環境問題に関わるビジネスにも精通しています。こうした強みを活かし、お客さまをトータルでサポートすることは、お客さまにとってもメリットがあることだと考えています。
もちろん、足りない部分に関してはパートナー企業の協力を得ることもあります。幸いにして、常時1000社近い企業とお付き合いさせていただいています。そういったパートナー企業の中には、モノや技術はあるけど、売り方も売り先もわからないといった企業もあります。
そんな時、われわれが客先でニーズをキャッチし、パートナー企業に対して「お客さまがこんなことで困っている、一緒にできないか?」と言うわけです。
まさに「協業」ですね。
そうです。そして、そういうスタンスでやっているうちに、お客さまからもパートナー企業からも、「これはどうだ」「あれはどうだ」と、どんどん新しい相談やニーズをいただけるようになりました。
お客さまのニーズを起点にビジネスが生まれていますね。またそれを解決するために、自社だけでなく、ネットワークを含め、強みを最大限に活用されているように感じます。差別化が難しい時代に、差別化を図るためには、他にどんなことが重要だと思われますか?
やはり伸びている営業マンを見ていると、そこにヒントが隠されているように思います。
仮に、その時は直接売り上げに結びつかなかったとしても、お客さまの要望や課題を解消してあげることにより、最終的に大きな仕事が舞い込んできたといったケースは過去にもありました。
大学病院を担当するある営業マンは、問い合わせを受けて訪問し、先方から「あれがいいか」「これがいいか」と色々質問されるわけです。そんな時、普通の営業マンであれば持ち帰って見積もりを作成して、ファクスやメールで送るか、翌日訪問して渡しますよね。
しかし彼は、パソコンだけでなくプリンターも営業カーの中に携帯し、大学病院の中で、値段も調べ、見積もりも作成するといったことをやっています。
これには私も驚いて、「そこまでのスピード感って本当に必要なの?」と、冗談ぽく本人に聞いたことがあります。
すると彼は、「他の業者ができないで、もしそれを私がやっているとしたら、それこそが差別化につながるのではないでしょうか」と言っていましたよ。
昨年、企業サイトをリニューアルさせていただくことで接点を持つことができた和光化学株式会社。フィロソフィや全社員を対象としたコンパなど、その斬新な取り組みを知り、今回、中條社長にインタビューをさせていただくことになりました。
いいサービスとは何か?愛される企業とは何か?
情報とモノが溢れる世の中において生き残っていくために必要な要素とは何か?
経営課題とも思われるそれらを考える時、われわれはまず、製品やサービスが生まれるまでの過程やその作業を見直すことが多いように思います。しかし、実は優れた製品やサービスを提供するのはすべて人。
俗にES(Employee satisfaction=従業員満足度)の高い企業が、市場において高い競争力を有する、つまり、優れたCS(Customer satisfaction=顧客満足度)を提供すると言われますが、和光化学の一連の取り組みは、その理論に基づいているように思います。
売り上げ低迷期から見事なV字回復を遂げ、社長の掲げる100億企業に向け順調に売り上げを伸ばす和光化学。
その経営理念に「全従業員の物心両面の幸福を追求するとともに社会の進歩発展に貢献する」という言葉がありますが、その考えは社にしっかりと根付いているように感じました。