災害はいつどのように起こるか予想できません。しかし、できる限りの備えで万が一の事態を防ぐべく対策をとることはできる――。
65年間、新聞印刷会社としてお客さまの信頼に応えてきた東日印刷の災害に負けない会社づくりを紹介します。
目次
東日印刷の災害対策
当社は以前から防災対策に力を入れてきました。災害時に支障なく業務が続けられるよう、社員の命を守れるよう、全社一丸となって万全の体制をとっています。
非常用電源
9月6日に発生した北海道胆振東部地震では、北海道全域が長時間停電にもなる大災害に見舞われました。東日印刷(越中島工場)は、このような災害に備え、非常用(生産用)発電機の整備を強化します。発電機は、毎年1回メーカーによる点検整備を実施していますが、新たに3年ごとに部品交換などを追加し、非常事態に備えます。
東日印刷の非常用発電機
越中島工場にある非常用発電機は、1995年1月17日の阪神・淡路大震災の翌1996年6月に上流用として設置しました。発電機容量が2250KVAという国内の印刷会社では最大規模の発電機です。
2011年3月に発生した東日本大震災を受け、2013年11月に実際に発電機を稼働させて印刷テストを実施しました。上流・下流システムを立ち上げ、モノクロ8ページの3セット印刷(印刷速度8万部/時)を同時に印刷できることが確認できました。空調条件などもありますが、テスト結果から計算上モノクロ32頁3セット印刷(印刷速度8万部/時)の同時印刷が可能です。
防災訓練
STビルでは年に2回、防災訓練を実施。火災や津波などを想定して、毎回避難場所を変えて行っています。避難完了後は深川消防署の協力で、起震車や119番通報など様々な体験コーナーを設けています。
防災訓練では社員の表情も真剣だ
自衛消防隊
当社の代表的な防災活動である自衛消防隊は、金杉工場時代の1980年に初結成。今年までに述べ161人が隊員を務め、自衛消防技術審査会への参加を通して初期消火技術を習得してきました。
自衛消防隊による放水の様子
備蓄
「東京都帰宅困難者対策条例」で一般企業への努力義務として社員を〝災害発生から3日間(72時間)は職場に留めておく〟ことが求められています。これは救助・救出活動に道路を優先的に使うための措置です。そのため、会社にはその3日間を過ごすための備蓄があります。
浸水対策
台風やゲリラ豪雨などによる工場への浸水被害を防ぐための止水器具も準備しています。下の写真は巻き取り搬入口に設置したウォーターゲートです。土のうや通風口をふさぐシャッター等もあります。
災害に対する意識付け
防災班長会議を開催
ビルの防災意識向上のため、年2回行っている防災班長会議を9月28日に開催し、自衛消防隊組織のメンバー変更を発表しました。また、災害時に備え館内の備蓄庫や災害対策の状況を視察しました。当日は、大型台風24号が接近しているということもあり、過去に台風被害(雨漏りや浸水)が発生した場所を視察し、止水器具の説明を行いました。
昨今、頻発している台風や地震被害に備え、グループ及びビルの防災強化を図っています。
普通救命講習を実施
東日印刷グループ防災委員及びSTビル館内の方を対象とした普通救命講習を10月15、16日の両日、第1会議室で実施しました。
テナント各社からの参加もあり、2日間で47人が心肺蘇生法やAEDの使用方法などを学びました。
同講習は東京消防庁が主催し、今回は深川消防署と(公財)東京防災救急協会の指導員が当社に出張し、行われました。参加者には後日、認定証が授与されます。
AEDの講習では各職場から社員が参加
北海道全域停電によるイレギュラーなゲンダイ発行に対応
9月6日に起きた北海道胆振東部地震で北海道全域が停電となり、通信手段が携帯電話に限られたことから、当社制作局では当日、北海道ゲンダイの編集・発行に二つの難題が立ちはだかりました。
一つ目は紙面制作です。通常北海道ゲンダイは東京版を基に、北海道独自の赤字や組み替えの指示をファクスで受け作成しています。また、東日側の修正は、北海道ゲンダイ編集のプリンターに出力しゲラで確認しています。しかし、ファクス、プリンターが使用できないため経験と資料を頼りに、東京ゲンダイからの協力も得て制作、確認の作業を東日側で行いました。
二つ目は印刷工場への紙面送信です。幸い、ゲンダイ側と災害時の協定を結んでいた印刷工場の非常用電源が作動したことから、降版紙面データの送信手段を検討した結果、FTPサーバーを使用し送信することに決定。11時01分に受け取り完了の連絡が入り、全ての作業を終了しました。
影響は数日続いたものの、北海道ゲンダイを1日も休刊にすることなく発行できました。
みなさんの災害対策は万全ですか?
個人としてできる備えはどんなことがあるでしょうか。以下に少し挙げてみました。それぞれの立場で違う対策が必要かもしれません。何か起こったときに、自分がどう動くか、シミュレーションも有効です。
通信手段を確保する
家族の安否を確認する手段を確認しておきましょう。災害時、多くの人が通話しようとすることで電話回線がパンクしてつながりにくくなります。なるべく通話以外の連絡手段を使いましょう。LINE などのSNS は安否確認に有効です。災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板(web171) なども、体験利用(体験利用日があります)しておくことをおすすめします。携帯電話を充電するための機器もあると安心です。
個人の備蓄品を準備する
会社に数日宿泊することになった場合を想定して、個人で必要なものを備えておきましょう。衛生用品や着替え、普段食べ慣れている食品や薬などです。コンタクトレンズを使用している方は眼鏡もあるといいでしょう。
緊急時を想定しておく
けが人や急病人が出た場合や火事を見つけた時にはすぐにまわりの人に助けを求めましょう。建物内であれば、消化器やAED がどこにあるか普段から把握しておくといいかもしれません。