コラボセミナー collaboration_seminar

サイボウズ×東日印刷

サイボウズ×東日印刷

東日印刷WEB推進チームはコラボセミナーを定期的に開催しています。
今回は第一回コラボセミナーの内容を簡単に紹介していきます。
テーマは「今からでも遅くない!成功するWebメディアの作り方~オウンドメディア成功企業が語るファンを増やすメディア運用術」です。コラボ相手は「サイボウズ株式会社」。オウンドメディア「サイボウズ式」の初代編集長大槻幸夫氏です。

コラボセミナー大槻氏とWEBチーム

人気オウンドメディア「サイボウズ式」

サイボウズのオウンドメディア「サイボウズ式」は2012年5月に担当者わずか3人からスタートした。
サイボウズ式のメディアコンセプトは、「新しい価値を生み出すチーム」のためのコラボレーションとITの情報サイト。直接的な製品PRはNGとし、世の中のトレンドをはじめ、お客様にとって有効な情報の発信を目的としている。

初めてのヒット記事は他社への取材記事だ。サイボウズ式を立ち上げてから1ヵ月後のことであった。
取材対象をあえてインフルエンサー(大多数の消費者に大きな影響力を発揮するキーパーソン、例えばホリエモンこと堀江貴文氏など)とすることで、取材対象者が個人のSNSアカウントでつぶやくことを期待し、情報の拡散を狙った。これが当たった。

同時に、社内の人間も積極的に「サイボウズ式」に露出、社長にも何度も登場してもらっているという。
「サイボウズ式」のヒット記事が新聞に取り上げられたり、別のインフルエンサーがSNS上で反応を示せば、さらにそのインフルエンサーを巻き込んで新しい記事を生みだす。といった精力的な運営を心掛けている。

これだけのことをやっているのだからさぞかし会議も多いことかと思いきや、顔を合わせての編集会議は週に1回のみで、大半のやり取りはグループウェア上で行われている。

そんなサイボウズ式は、当初目標とした来訪数30,000人/月は5ヵ月でなんなくクリア。今では平均20万PV(ページビュー)をたたき出す人気メディアとなった。こうした取り組みは採用や売り上げにも貢献し、サイボウズ式を経由しての採用や製品購入も増えていったという。

サイボウズ式が生まれた背景

ではサイボウズはなぜこのような取り組みをはじめたのか。
大槻氏によると、創業から10年が経過した頃、それまで右肩上がりで順調に成長を続けてきた売り上げが頭打ちとなり、横ばいで推移するようになったという。グループウェアは成熟市場へと突入したのだ。

また、2010年に開始した個人向け無料クラウド型サービス「サイボウズLive」により、顧客対象が法人から個人へと拡張した背景がこれを加速させた。すなわち、従来型のプロモーション手法が通用しないまでに、顧客対象が多種多様化したわけだ。

それまでの、サイボウズのプロモーション手法は目を引くど派手な広告を量産し、それをインターネットのバナー広告などで多用するというものだった。
バナー広告からの流入客に対して、お試し期間などを設けて自社製品を使用してもらい、そのまま継続利用というのが典型的な契約パターンだったという。

しかし、時代の流れとともに、GoogleやSalesForce.comをはじめとする巨大グローバル企業が日本国内でも勢力を強め、認知の面で遅れをとる状況になり(特に大企業に対する認知度が低かったという)、プロモーション手法を改める必要性が生じた。

理論へ立ち戻り、必要なプロモーション

そんなサイボウズに必要とされるプロモーション手法を考えるにあたり、大槻氏は製品の市場投入からの普及推移を示す、プロダクトライフサイクルにおいて市場がどこに位置するかということに注目した。

アメリカの社会学者のエベレット・ロジャース氏イノベーター理論に基づくと、製品投入から衰退までは5つの局面(フェーズ)に分かれる。

1.イノベーター(革新者)
2.アーリー・アダプター(初期採用者)
3.アーリー・マジョリティ(前期追随者)
4.レイト・マジョリティ(後期追随者)
5.ラガード(遅滞者)

の5つがそれにあたる。

1.2に位置する人々は先端層と定義され、その後の3.4に位置する人々が一般層(いわゆるマス)そして、技術や製品が投入されてもなかなか採用しない保守層と続く。

その中で、成熟市場は3.4に位置し、1.2の先端層と3.4段階の一般層の間には深く大きな溝(キャズム…ジェフリー・ムーア氏が定義)が存在すると同氏は語る。

積極的に技術を採用し機能を重視する先端層に対し、一般層は価値を求める。

また、3・4に位置する一般層は製品に対して詳しい知識を持っていない。だからこそ意思決定の際に信頼感が重要な目安となるのだ。

では信頼感とは何か。
大槻氏は、サイボウズにとって信頼感とはデザイン、機能、ストーリー、評判であり、この4つの整合性がとれている状態が望ましいという。

この中で、サイボウズに一番足りなかったもの。それはストーリーだ。
すなわち「なぜサイボウズはグループウェアを提供しているのか」というお客様からの無言の問いに応えなければならなかった。

新生サイボウズに向けて

そこで、1つの疑問が生じた。「そもそもサイボウズはストーリーを訴求できる会社なのだろうか」

そこで目をつけたのは当時サイボウズが進めていた人事制度改革だった。出産を機に退職する優秀な女性社員を何とかしようと、2006年には育児休暇を最大で6年間取得できる制度を立ち上げた。今でこそ、ワークライフバランスといえばサイボウズと呼ばれるほどまでになったが、原点は実はここにあった。
現在では9つのワークスタイルから「働き方」を選択することが可能で100人いれば100通りの人事制度という方針を打ち出している。また「働きがいがある会社」ランキングでも常に上位に顔を出すなど人気企業の仲間入りを果たした。

こうした社としての取り組みはマスコミにも度々取り上げられ、グループウェアを通して「チームワーク」という価値を提供しているメーカーであると、自らのビジョンを再定義することに成功した。

機能ではなく価値を伝えるということ

ストーリーはあった。あとは、それをどう伝えていくかが問題だ。
そんな時に、大槻氏が参考としたもの、それはジャパネットたかたの高田社長のセールスプレゼンだ。

高田社長のセールスプレゼンは、機能ではなく価値を伝えることを重視している。

例えば、700万画素のデジカメであれば、新聞紙大に写真を引き伸ばしてもきめ細やかさを失わないことも可能だ。自分の可愛い娘や孫の一瞬一瞬を一枚ずつ新聞紙大に引き伸ばして成長記録集を作る。そして、それを二十歳の成人祝いにプレゼントしたらどうだろう。

きっと、泣いて喜ぶに違いない
と。

つまり、単なる機能説明ではなくユーザーがそのデジカメを手に入れることによりどんな価値を手に入れるかということを、はっきりとイメージできるような言葉として表現している。

大槻氏は、サイボウズが提供している「チームワーク向上」という価値を世の中に伝えるためには、編集力が必要だと気付いたという。

こうして、メーカーであるサイボウズに編集部が誕生、オウンドメディア「サイボウズ式」が誕生した。

大槻氏はここで1本の動画を紹介する。Apple社の「Think different」キャンペーンCM(1997年)だ。当時Apple社を追放されていたスティーブ・ジョブズ氏が社に復帰し、真っ先に手掛けたのがこのThink differentキャンペーンのCMである。

クレージーな人たちがいる
反逆者、厄介者と呼ばれる人たち
四角い穴に 丸い杭を打ちこむように
物事をまるで違う目で見る人たち

彼らは規則を嫌う 彼らは現状を肯定しない
彼らの言葉に心をうたれる人がいる
反対する人も 賞賛する人も けなす人もいる
しかし 彼らを無視することは誰もできない
なぜなら、彼らは物事を変えたからだ
彼らは人間を前進させた

彼らはクレージーと言われるが 私たちは天才だと思う
自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが
本当に世界を変えているのだから

Think different

製品PRが全くないCMに対し、当時Apple社内では否定的な意見が大半を占めたという。
しかし、結果はどうだったか、キャンペーンCMを全世界で流し始めた途端に、商品は飛ぶように売れたという。見事なV字回復を成し遂げた当時のApple社の事例を、大槻氏は(機能ではなく価値を伝える)究極の事例という。

すなわち、成熟しきったパソコン市場において、「パソコンなんてどれも一緒」と思っていた多くのユーザーに対し
「私たちが目指す社会はこういう社会であり、こういうことを目指して活動している」
という強烈なメッセージを帯びたクオリティーの高いCMは大きなインパクトを与えたのだ。

こういったコミュニケーションが成熟市場においては大変有効であると大槻氏は語る。こうして、サイボウズは、2014年、働くママを応援するワークスタイルムービー「大丈夫」を生み出す。

ムービーはYoutube動画をはじめTVCMでも公開され、YouTubeでは広告なし動画としては異例の162万回再生を記録。同時に動画はマスコミに取り上げられ、議論が巻き起こり、国内、そして海外へと波及していった。

サイボウズはこうした取り組みにより全方位型の会社PRを実現。これは日本社会に根差し、本気で日本社会を変えていこうと考えるサイボウズだからこそできることであり、それこそがグローバル企業との差別化を図るうえで最も重要なことであった。
停滞していた売り上げはクラウドサービスの成長により再び伸びはじめ、ブランディングコミュニケーションはその下支えとなった。

オウンドメディアを通して学んだこと

オウンドメディアを通して事業会社でもマスメディアの力を借りずに自分たちでマスコミュニケーションできる時代がついに来たと大槻氏は語る。

また、成熟市場では社会とつながりをつくること、そしてつながり続けることが何よりも重要であり、コンテンツマーケティングが重要だなどと言われるが、大槻氏はむしろコンテキストマーケティング、すなわちどういう文脈で自分たちを知ってもらうかが重要だと強調する。

最後にHONDA CARS茨城南の女性営業マンの話を紹介する。彼女の営業スタイルは、車を売ろう売ろうとするいわゆる「押せ押せ」の営業ではない。徹底的に顧客との接点を強化する「地道なコツコツ型」の営業だ。彼女は、顧客にとって有効で役立つ情報を集め、手書きの新聞を作成し、それを顧客に配布して回っているという。地域や社会とつながり続けている彼女の営業スタイルは、顧客との強い信頼関係を育み、トップセールス級の売り上げを生み出す要因となった。

このケースを紹介し、実は我々が行っていることというのは、昔からやっているであろうやり方をソーシャルやインターネット上でやっているだけのこと。何一つ新しい取り組みではない。ただ、(インターネット上でそれをやれば)その拡散は全世界に及ぶ。企業にとってこういったことをやらない理由はないと語り、大槻氏の講演は幕を閉じた。

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